強力なセールスポイントはフロアコーティングです
「観と夫のわがままの問に入ってノイローゼになりそう」と実の親と同居しているC子さんは、親に甘えた同居のスタートを反省しながらも切々と苦労話をつづける。
最大の原因は親が娘可愛さにお金を出して、マイペースで同居住宅を建てたことと、生活費も親主導ということらしい。
これでは夫の立場はまるでなく、しかも婿のグチを親が言いたい放題娘に言うという。
婿の側はこれではおもしろくない。
ただでさえも自分の妻の親には気がねがあり、自分自身の親を家に呼ぶこともできない。
友人を呼ぶことも遠慮がちとなる。
この不満やイライラは当然のことだが妻に向けられる。
もっと困ることは、このことを小さな子供たちさえもが気にして、「今度はパパのおじいちゃんの家にママのおじいちゃんには内緒で行こう」などという始末。
「こんな状態で父に先立たれでもしたら、いったい母と夫の関係がどうなってしまうかと今から心配です」とC子さんはいう。
「娘同居はトクで楽ですよ」と二世帯住宅のメーカーのセールスに勧められて話を進めてきたC子さんは、悔しさでいっぱいというところだった。
私の事務所では、この一番やりやすい″娘同居を最も慎重に設計する。
建てる側に少しも警戒心がないからだ。
特に子夫婦側が頼りなく、夫がほとんど無関心に近いケースが多い。
むしろ、息子夫婦と同居の方が、互いに事前によく研究していてやりやすいぐらいだ。
しかし、娘同居では、息子夫婦との同居と確かに違うことが一つだけある。
それは親夫婦が子育てに協力的だということだ。
言いかえると孫に遠慮がないのだ。
「自分の娘が生んだ子」という絶対的な錯覚が支配していて、平気でひっぱたきもする。
いったい婿がどのように感じているのか、全くおかまいなしだ。
逆に内孫だと「嫁が生んだ子」ということから扱いに慎重で、手を出すなどとんでもないという不文律がある。
ところがこれが後に子育てで障害となることが多い。
さらに注意すべき点は、前述のとおり婿側の両親の事情やその扱いだ。
相手が次男とか、昔から親しい家であれば支障は少ないが、それでも親同士には遠慮がある。
たとえ地方から出てさても、息子が嫁の両親と同居している場合には泊らない。
婿の友人や会社の同僚も同じで、遠慮をしているケースが多い。
そこで、本来ならば十分すぎるほどの同居でありながら、あえて出入口を別にし、場合によっては上下一、二階にきっちり区画、中階段のドアでつなげるようにする。
夫の来客時はきっちりとドアで区画、まるで二世帯のように分けるが、普段は一体同居の生活をすればよい。
娘同居の最重要点は、金銭のルーズさだ。
互いの生活費はきっちりと分ける。
できれば夫の方も、ローンを組んで建築資金ぐらいは負担すると後が住みやすい。
これが頼夫婦の負担が大きいとかえって同居の内容は濃くはならないばかりか、一家の長としても、成長できないことになる。
娘同居のケースでは、甘くなりがちな中であえて厳しい自制のルールづくりがあってこそ、同居生活の良さが生まれる。
同居には濃さ薄さがある夫婦の愛に深さがあるように、同居生活にもその濃さがある。
娘同居は濃い同居かというとそうとは限らない。
親娘は濃くても婿とは薄ければ、当然のことだが娘夫婦は出て行ってしまありえないと思うが、娘と濃すぎて婿だけ出て行ってしまえば親娘だけ残り、元の木阿弥となる。
必ずしも同居が濃いことが良い同居ではない。
同居は、そのスタートでは特に濃くなくとも平均していることが大切だ。
当初互いに遠慮もあって気をつかいあっていても、次第にいくらでも濃くなっていく。
そのためにも最初から異常に濃くない方が良いかも知れない。
嫁姑の関係は昔とかなり違ってきているが、そのむずかしさは今も変わらない。
その意味では互いに薄いことになる。
しかしこの絆はいったん濃くなると何よりも強い家族の柱となる。
俗に言う嫁姑のイイ関係とはこの事だ。
同居の濃さが増すほどにすばらしい同居のよさが次々と生まれてくる。
いったんこうした波に乗ると、本当に同居して良かったと全員が思うようになる。
その時には壁はおろか、互いの気がねもなくなる。
運良く互いの性格が合致してトントン拍子に濃さが進行する場合もあるが、ほとんどが当初のルールづくり、そしてプランづくりの良し悪しによっている。
その意味からも、互いをコンクリートの床や壁で当初から仕切ってしまう二世帯住宅はその濃さを増すことはおろか、逆に互いの関係を薄めてしまいかねない。
これでは同居の良さも生まれない。
同居の最大の良さは、何といっても子供の豊かな成長だろう。
これは前にも述べたとおり得がたい恩典だ。
年寄りにとってみれば、子供や孫たちのこうした成長の楽しみが生きがいとなる。
「医」「職」「充」の不安など感じる間がないほどだ。
さらに、子夫婦の留守を預り家を守る立場はまさしく長老の満足感で、長すぎるほど長い老後の時間が有益に役だつという。
働き盛りの子夫婦は当然おおいに活動しやすくなる。
家族で旅行に出ても、帰ってくると家には電灯もついて明るくあたたかい。
カギの締め忘れやガスの消し忘れも心配ない。
時には全員で賭けをしたり、一緒にゴルフやつりにも行ける。
嫁姑がバーゲンセールでチームをつくり、頑張る姿はたくましくもほほえましい。
なんといっても、同居家族は核家族に比べて強靭だ。
嫁姑、あるいは夫と父、どちらに故障があっても誰かが助けられるし、子供の父母会も体育祭も誰かが行ける。
この点は子供のお産、病気やケガなどでパニック状態になる核家族世帯といい比較になる。
こうしてみる限り、同居の良さは限りないが、これも同居の濃さが濃いほど感じられることなのだ。
親夫婦、または子夫婦のいずれかから同居をしたいと希望が出た場合、いろいろある同居形態の中で、どのスタイルを選べばトラブルが少なくなるかを判定するいい方法があるので、お教えしよう。
同居の形態にはいろいろなタイプがある。
べったり同居の「完全融合型」、そして台所だけ別々の「準融合型」。
さらに出入口と台所を分離して、ちょっと互いのプライバシーを高めた「半融合型」、そして互いをフロア別にしてやや分離しつつも浴室は同じ「半分離型」。
娘同居の項でも紹介した、いざとなると二世帯に分離できる設備を持ち、さらに開閉可能の中通路や階段のある「準分離型」。
そして上下二世帯か左右二世帯の「完全分離型」など。
ここでいう「完全分離型」の住まいでは、同居の濃さはほとんどゼロだということに注意してほしい。
今まで述べたように、場合によってはかえって、親夫婦・子夫婦の関係がマイナスになってしまう。
さて、判定方法は、親夫婦と子夫婦の四人がそれぞれ、自分自身ではどの同居スタイルがいいと思うのかを考える。
あくまでも自分の本音の形態を選ぶことが大切だ。
そして親夫婦と子夫婦の四人の答えで、一番同居の薄いものを同居形態として選ぶといいだろう。
たとえば親側夫婦が「半融合型」を選び子側の夫が「半分離型」、妻が「準分離型」を選んだら、答えは一番その中で同居の薄い「準分離型」ということになる。
観が「半融合型」をいくら望んでも、無理をせずに「準分離型」のプランを選ぶ。
下に浴室などもったいないと言わずに、それも安全で平和な同居のための保険≠セと考える。
するといざ同居が始まるとトントン拍子にうまくいって、すぐに「半融合」「準融合」と関係が濃くなっていく。
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